第9回<昭和7年>選抜中等学校野球大会

<2回戦> 海草中 0-2 京都師範
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
海草中 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
京都師範 1 1 0 0 0 0 0 0 × 2
<3回戦> 浪華商 2-3 和歌山中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
浪華商 1 0 0 0 0 0 1 0 0 2
和歌山中 3 0 0 0 0 0 0 0 × 3

  和歌山中は1回において勝因を摑んだ。5番打者山本が2走者を一掃した左翼越二塁打は最後まで輝かしい結果をもたらした。その後両軍投手よく投げ和歌山中・大谷は下手投げと緩急よろしきを得たる速力の変化あれば、浪商・納家には凄いインシュートの武器あって互いに譲らぬ投手戦を演じた。7回浪商は湯川の適時安打で四球に出た納家を迎え入れてその差1点に迫ったが及ばなかった。浪商は7安打を放ち1回以降やや攻勢に出ながらこの惜敗をみたのは1回における2失と山本に許した二塁打が崇ったものであるが、善戦敗れて悔いものといえよう。

<準決勝> 和歌山中 2-4 明石中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山中 0 0 2 0 0 0 0 0 0 2
明石中 0 2 0 0 2 0 0 0 × 4

 楠本投手の出来は最高のものとはいえず彼の武器であるシュート、或はアップする球が見られなかった。6回のチャンスに木村が自重して二塁に刺されずにおり、和歌山中打線に今一息の打力があったならあのピッチングは必ずもっともっと苦戦を招いたであろう。3回、2点のリードをふいにされた時の後藤に二塁打された球など最も不注意な1球であった。
 和歌山中は6回走者の不注意で、その絶好のチャンスを逸したことは諦められぬだろう。また2回の2点もつまらない投手の1暴投で与えたもので勝運に見離されていたのかもしれない。