第12回<大正15年>全国中等学校野球選手権大会

紀和大会予選

<決勝> 和歌山商 1-8 和歌山中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山商 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
和歌山中 3 0 2 0 0 1 1 1 × 8

 和歌山商は小川投手を打ち悩み、前半4回唯一の好機を逸し、9回一死後、細野遊匍失に生き、高石左中間に三塁打して1点を挽回したのみ2安打の貧攻振りに終わった。
 和歌山中は1回松尾四球、丹下のバント安打となり、土井バントに送るや山本の三塁打と小川二匍に早くも3点リード、3回にも山本四球、小川、後藤の安打に2点を加え更に6回梶本三塁打し、松尾の安打に迎えられ7・8回にも攻撃の手を緩めず山本の三塁打、高橋の適時安打などで各1点を加え常勝和歌山中12度連続優勝を遂ぐ。

全国大会

<1回戦> 愛知商 4-6 和歌山中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
愛知商 1 0 0 0 0 0 0 3 0 4
和歌山中 2 0 0 1 0 2 0 1 × 6

 愛知商は1回、中島4球目を捕手逸し二進、平松の遊越安打に1点先行したが、その後7回まで凡退、8回二死2走者を置いて左松右翼線深く三塁打し2点、更に高谷の中前安打に友松生還、1点差に迫り白熱戦となった。
 和歌山中は1回土井右中間三塁打し、松尾中前安打で生還。松尾も小川のバントと丹下の安打で得点。更に4回丹下が左翼本塁打を放ち、6回には小川右越三塁打し山本の右飛失、丹下の三匍、島本の三匍で2点を加え前半優勢裡に試合を進めた。8回愛知商の反撃に一寸危ぶまれたが、その裏二死後、当りや丹下左越三塁打して投手暴投に1点を加え愛知商の追撃を退けて和歌山中決勝した。

<2回戦> 和歌山中 16-3 台北商
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山中 1 1 0 4 7 0 3 0 0 16
台北商 0 0 0 0 0 0 1 2 0 3

 和歌山中1回二死走者二塁に置いて小川の中前安打で生還。2回も高橋左中間二塁打、後藤の安打に1点を加えて早くも敵を圧し4回二死満塁に土井・山本の連続三塁打に一挙4点、5回には丹下投匍失に始まり3個の四球、3安打、暴投、敵失を織りまぜ11人の打者を送り7点を加え大勢を決した。
 台北商はそれでもゲームを捨てず、7回浅尾安打で1点、8回小川の左越三塁打と深川の遊匍に2点を返したが、攻守共相当の開きが見られた。台北商の敗北は是非もない。

<3回戦> 和歌山中 9-3 鳥取一中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山中 4 0 2 3 0 0 0 0 0 9
鳥取一中 0 0 0 0 0 3 0 0 0 3

 和歌山中は劈頭松尾遊撃左を抜き土井バント、山本の中前安打に早くも生還、小川、高橋の安打と丹下中堅越三塁打と息をつかせぬ猛攻に一挙4点を先取、更に3回には小川中越三塁打して2点、4回梶本安打、松尾三遊間安打して一死満塁となり小川三振後、高橋の遊匍野選と丹下の右前安打で3点と前半大きくリードした。
 鳥取一中は小川を打てず、6回二死満塁となり、宮脇の投匍は捕手失し叶の右前安打で3点を返したがその後凡退和歌山中準決勝に進む。

<準決勝> 大連商 1-0 和歌山中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
大連商 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1
和歌山中 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

 小川・円城寺は互いに力投して譲らず殊に小川の剛速球は三振15、安打4の成績が示す通り素晴らしいものがあったが、惜しむらくは打力不振で8回まで三塁に達した者なく最終回、山本左中間三塁打を放ったが、期待された小川右飛、高橋のスクイズバントは惜しくも本塁に走者刺され無得点、一方の大連商は6回小西四球を選びバントに送られ、肥塚の三匍野選、梅本三振後、桜井二遊間安打を放って貴重な1点を挙げ、さしもの大援戦も和歌山中に利あらず恨みを呑む。