第26回<昭和29年>選抜高等学校野球大会

<1回戦> 新宮 2-4 熊本工
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
新宮 0 0 0 2 0 0 0 0 0 2
熊本工 0 0 1 0 2 0 1 0 × 4

 1点のリードを許した熊本工は5回坂口四球を選び田中の投ゴロに二封をあせった前岡の悪投に救われて反撃をつかみ添島の中越の二塁打で同点、田中と山村のスクイズも成功して逆転せしめその後、添島の力投で新宮の反撃を抑えてこの試合をものにした。
 新宮は4回死球の栗栖を一塁に置き岡田守が右中間に二塁打して1点、自らも由谷の安打で生還し堂々と添島を打ち込んだ攻撃振りは流石と思われるものがたあった。しかし頼みとする前岡がこの日荒れ気味で、10個の四球を出すという常に不安定な投球振りは一度は試合を逆転したものの、絶えず味方に不安を与え野手の緊張を誘いこの結果が3回の二塁失5回の投手暴投、また中堅手の転倒となって与えなくてもすんだ得点を熊本工に許した
 熊本工は3回無死満塁の絶好の得点機に田中のスクイズを命じて失敗、三塁走者と併殺されたが打者が4番でありしかも2ストライクだけに意表を衝く策戦だろうが、いささか無謀すぎた。これが熊本工の苦戦を招いた因であろう。添島投手は期待にそむかずスピード豊かな速球を投げ好投した。しばしば危機を未然に救った山村三塁手の好守も目立っていた。