第66回<平成6年>選抜高等学校野球大会

<1回戦> 智辯和歌山 8-4 秋田
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 4 1 0 0 1 0 1 0 1 8
秋田 0 0 0 0 0 0 3 0 1 4

 智辯和歌山は1回、岸辺の右翼線二塁打と暴投、中本の四球で一死一、三塁とし、井口、西中の連続適時二塁打、さらに二死後、藤田の適時打で4点を先制。今のカーブを徹底して右方向へ狙い打った見事な先制攻撃。その後も7回に浜地の今大会第3号の左越え本塁打などで確実に加点し、センバツ初勝利をあげた。
 秋田は7回、笹山、日景の長短打などで3点を返したが、2、5回に喫した併殺が痛く、序盤に反撃のきっかけをつかめなかった。

<2回戦> 智辯和歌山 10-2 横浜
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 1 0 2 2 0 0 0 1 4 10
横浜 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2

 智辯和歌山は井口の2点本塁打などで4回までに5点をリード。先発の左腕・笠木が6回無死二、三塁のピンチに立つと、すかさず右の松野をマウンドへ。この回失策で2点を失ったが、以後は横浜打線を無得点に抑えた。
 横浜は矢野が立ち上がり制球難。ストライクを取りにいった直球を狙い打たれた。3回にも守備の乱れから2失点。投打ともに最後までリズムをつかめなかった。

<準々決勝> 智辯和歌山 6-5 宇和島東
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
智辯和歌山 0 0 0 0 0 0 0 0 5 1 6
宇和島東 0 0 0 0 0 3 1 0 1 0 5

 智辯和歌山は延長10回、先頭の中本が右中間を破る二塁打。二死後、浜地が四球を選び、松野が外角球を三遊間を突破して、勝ち越し。8回までは宇和島東ペースだったが、9回一死から智辯和歌山が宇和島東の継投策をついて3長短打に3四死球を絡めて一気に5点を挙げて逆転。宇和島東もその裏、同点に追いついたが、3番手・松瀬の制球が甘く、踏ん張れなかった。

<準決勝> 智辯和歌山 5-4 PL学園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 1 0 2 2 0 0 0 0 0 5
PL学園 0 0 0 1 0 0 0 2 1 4

 智辯和歌山の強気、集中力が勝利を呼び込んだ。1回、先頭の植中が左翼線二塁打、バント、四球の一死一、三塁に井口が左腕に先制打。3回は二死から安打と2四死球でつかんだ満塁機に西中が一、二塁間を破る2点タイムリー、なおも4回、二死から川原が中前打を放ち宇高を退け、救援・光武に植中が右前打し、岸辺の右翼線二塁打で2点を加えた。智辯和歌山打線の積極的な打撃が光った。
 投手リレーも大胆。5回までPL学園打線を5安打、1点に抑えた笠木に代え、6回から松野を送った。PL学園は8回、3長短打で2点、9回も大村の適時打で1点差に追い上げ、なお二死一、二塁と攻めたが、及ばなかった。

<決勝> 智辯和歌山 7-5 常総学院
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 0 1 4 0 0 2 7
常総学院 0 0 2 0 0 0 0 3 0 5

 智辯和歌山の一打にかける集中力が、常総学院の懸命な防御策を突き崩した。
 8回に追いつかれた智辯和歌山は9回、2四球と西中の投手強襲安打で一死満塁と攻め、高谷を退けた。松野は、中里から救援に立った内田に三振に倒れたが、藤田がフルカウントから三遊間を破り、決勝の2点をたたき出した。
 序盤は常総学院ペース。3回、佐久間、高谷の三塁打と三塁手の悪送球で2点を先取。5試合目の先発、清本も疲れで球威が落ちたが、シュート、シンカーで内角を攻める大胆な投球で智辯の打者を詰まれせた。
 智辯は5回、中本、西中の長短打で1点を返してリズムをつかんだ。6回、無死から笠木が左前打で出塁。藤田が四球を選ぶと常総が左腕・高谷スイッチ。ここで智辯はバントで二、三塁に進め、植中がスクイズしたが、走者がサインを見落とし二死。好機は逃げたかに見えたが岸辺が再度登板の清本の初球を中塁左に逆転二塁打。なおも中本、井口の連続短長打でこの回一挙4点。
 常総もねばり、8回、松野を攻め、2四球に代打・遠藤と田原の連打などで3点。いったんは試合を振り出しに戻したが、救援投手陣が智辯打者の勝負強さに屈した。