第82回<平成22年>選抜高等学校野球大会

<1回戦> 開星 1-2 向陽
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
開星 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
向陽 0 0 0 2 0 0 0 0 × 2

 21世紀枠で出場の向陽は、エース藤田の好投と堅い守りで強打の開星打線を抑え、2-1で45年ぶりに勝利した。
 向陽は4回、死球で出塁した津村が悪送球で3塁に進む。二死1,3塁となって6番の大槻が初球をたたき、先制の右前適時打。さらに1、2塁から長田も初球を左前安打し、2点目を挙げた。
 立ち上がりから好投する藤田をバックがもり立てた。3回安打と四球で一死1,2塁のピンチ。ここで遊撃手の森が安打性の打球を飛びついて好捕。そのまま2塁へ送って見事な併殺。7回にも無死1塁で、西山がゴロを軽快にさばいて二つ目の併殺を完成させた。藤田は上々の立ち上がりを見せ、直球に威力があり、鋭いスライダーもよく決まった。9回、死球から1点を返され、なおも一死3塁。しかし、最後まで集中力を切らさずに落ち着いた投球を見せ、得意のスライダーで2者連続三振に仕留め、45年ぶりの勝利を呼び込んだ。
 開星は9回に1点を返したが、藤田の頭脳的な投球に翻弄され敗退した。

<1回戦> 智辯和歌山 6-1 高岡商
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 1 0 5 0 0 0 0 6
高岡商 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1

 雨中の試合は智辯和歌山打線が5回に集中打で5点を挙げて試合を決定づけ、6-1で制した。
 智辯和歌山は3回、敵失で出た城山を犠打で送り、4番山本の犠飛で1点を先制。さらに本領を発揮したのは5回。先頭の藤井が中前安打。城山が犠打で二塁に送り、岩佐戸の四球で1、2塁としたあと、西川が右中間を深々と破る走者一掃の三塁打を放って2点を追加。続く山本も強烈な左前安打で1点。道端の四球のあと宮川が期待に応えて中前適時打でこの回4点目を挙げた。そして瀬戸が試合を決定づける左中間二塁打を放ち、4回の失策を取り返す。高岡商の鍋田の球が甘くなったところを見逃さない見事な集中打だった。先発の藤井は高岡商の打線を研究し、打者によって勝負球を変える巧みな投球で被安打4、失点1に抑えて完投した。髙嶋監督は春夏合わせた甲子園通算勝利記録が59勝となり、全国最多となった。
 高岡商は鍋田が5回以外智辯の強力打線をていねいな投球で抑えたが、藤井の緩急をつけた投球を打ち崩すことができなかった。

<2回戦> 向陽 1-3 日大三
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
向陽 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1
日大三 0 2 0 0 1 0 0 0 × 3

 向陽は強豪の日大三と対戦、1-3で惜敗し、旧海草中以来72年ぶりの準々決勝進出はならなかった。
  2点を先制された4回の向陽の攻撃。山本が四球で出塁し、犠打で2塁へ。5番の西岡が中前へ適時打を放って1点を返した。なお大槻の内野安打で一死1、3塁。しかし続く鈴木のスクイズは小飛球となって併殺。2点差となった8回、先頭の東山の内野安打と敵失で無死2塁としたが、後続を断たれ、日大三の山崎を最後まで攻略できなかった。
 「立ち上がりを気を付けたい」と話していた藤田は2回、3連続安打の無死満塁から遊ゴロと畔上の適時打で2点を先取され、5回にも1点を奪われた。
 しかし「攻める」という意志を貫いた強気と粘りの投球は見事だった。

<2回戦> 智辯和歌山 2-7 興南
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 1 0 1 0 0 0 0 0 2
興南 0 1 0 0 3 0 0 3 × 7

 智辯和歌山は興南と対戦、序盤は互角の戦いを見せたが、興南の島袋を打ち崩せず、2-7で敗れた。
 智辯和歌山の最初のチャンスは2回に訪れた。宮川が左翼線へ二塁打。続く瀬戸が中前へはじき返して一死1、3塁。小笠原の右前安打で先制。同点の4回、二死から城山の左前安打のあと、岩佐戸が左中間を破る二塁打を放って勝ち越した。しかし毎回のように好機を作りながらバントのミスなどで得点できず、中軸が島袋に無安打に抑えられて打線を寸断されたのが響いた。
 先発の吉元は毎回得点圏に走者を背負いながらも落ち着いた投球を続けてきたが、5回無死から連打を浴びて降板。救援した藤井の野選が満塁となり、四球や犠飛、スクイズで逆転された。8回にも本塁打などで3点追加され、押し切られた。