第83回<平成23年>選抜高等学校野球大会

<1回戦> 智辯和歌山 8ー1 佐渡
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 2 0 0 0 0 4 1 1 0 8
佐渡 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

 智辯和歌山は佐渡と対戦、6回に集中打で4点を挙げて突き放し、8ー1で制した。髙嶋監督は春夏合わせた甲子園通算勝利記録を「60」に伸ばした。
 智辯和歌山は1回、先頭の山本の死球から好機をつかんだ。小笠原が犠打をしっかり決め、道端の左前安打のあと宮川が三遊間に放った内野安打の間に山本が本塁を駆け抜けた。二死後、中村が中前へはじき返し、2点を挙げた。6回、チームがモットーに掲げる「つなぐ野球」が開花する。川崎が引きつけて中前安打出塁すると、青木が四球を選び二死1、2塁。続く山本が右前適時打を放ちまず1点。四球で二死満塁とし、道端が中堅手の頭を超す走者一掃の三塁打。一挙4点で佐渡の粘りを振り切った。7、8回にも川﨑と平岡の適時打でそれぞれ加点し、試合の流れを決定づけた。
 先発の青木は立ち上がりから制球が安定し、内角をつく強気の投球で8回まで12奪三振。直球とスライダーをテンポ良く投げ、的を絞らせなかった。
 佐渡の鎌田は緩急を生かした投球で5回まで智辯和歌山を4安打に封じ粘ったが、球威の落ちた6回以降に10安打を浴び、力尽きた。打線も4回に鈴木の二塁打で1点を返したが及ばなかった。

<2回戦> 光星学院 2-3 智辯和歌山 
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
光星学院 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2
智辯和歌山 0 0 0 1 1 0 0 1 × 3

 智辯和歌山は光星学院に3-2で競り勝ち、2008年以来3年ぶりの8強入りを決めた。
 打線は序盤、光星学院の主戦・秋田の球にタイミングが合わない。しかし、2巡目の4回からはがらりと変わる。先頭の山本が右前にチーム初安打を放つと、小笠原の犠打が野選となり1、2塁に。二死後、平岡が四球を選び、嶌が先制の左前安打を放った。直後に逆転され1点を追う5回、中前安打の中村を川崎が犠打で送って二死2塁。狙っていた内角低めの球を振り抜いた山本の打球は右中間を破る同点の三塁打に。そして、2-2の均衡が破れたのは8回。ピンチを切り抜けた智辯和歌山はその裏、まず先頭の山本がこの日3本目の中前安打で出塁。一死後、道端が打席に。「真ん中低めのスライダー」を芯で捕らえた打球は左中間を破り勝ち越しの二塁打となり、試合を決めた。
 先発左腕青木の立ち上がりは初戦に比べてやや不安定だったが、直球とスライダーを効果的に織り交ぜて要所をしのぎ完投した。
 光星学院は2点二塁打などで一時は逆転に成功したが、直後に追いつかれ、テンポの良い投球が光ったエース秋田を援護できなかった。

<準々決勝> 履正社 10-3 智辯和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
履正社 0 0 0 1 7 0 0 0 2 10
智辯和歌山 0 0 0 0 2 0 0 1 0 3

 智辯和歌山は履正社と対戦。序盤は互角の戦いをみせたが、中盤、試合巧者の履正社にバッテリーの動揺を見抜かれ、3-10で敗れた。
 先発の左腕・青木は、スライダーと直球でコーナーを突き、3回まで履正社打線を1安打に抑える完璧な投球内容だったが4回、急にリズムが狂い始める。2者連続三振の後、5番大西にうまく左翼線にはじき返され、二塁打。次打者の左前安打で先取点を奪われた。続く5回二死2、3塁では、捕逸で痛恨の2点目を失い、さらに四死球の後、連続長短打を浴びついに降板。リリーフ蔭地野も、調子づいた相手打線を抑えることができず、この回一挙に7点を失った。三番手の上野山も最終回に2点を奪われた。
 智辯和歌山も打線で意地を見せた。5回二死後、山本が右前安打。小笠原も安打で続き、道端は四球を選んで満塁とした。この場面で宮川は、内角の球をしぶとく右前にはじき返す2点適時打。8回にも先頭道端が中越え二塁打を放ち、続く宮川の左前安打でさらに1点を加えたが、反撃もそこまで。中盤、高めに浮いた球を履正社の各打者にとらえられて喫した大量失点が、最後まで響いた。
 履正社の右腕・飯塚は、3回までは先頭打者に安打を許す苦しい投球だったが、走者を置いてからは的確にコーナーを突き決定打を許さず要所を締めた。