第29回<昭和22年>全国中等学校野球選手権大会

紀和大会

<決勝> 海草中 3-6 海南中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
海草中 0 0 0 0 2 1 0 0 0 3
海南中 0 3 0 3 0 0 0 0 × 3

 海南中は2回二死満塁に辻󠄀二塁打し走者を一掃し、更に4回4安打を集中して3点を加え伊沢をノックアウトする。海草中は井上のドロップに手を焼き1,2,8回に訪れた好機を打ち込めず、5回漸く伊沢左翼に三塁打し岡の中前安打トンネルに2点を恢復し、更に6回二死走者一、三塁の時、重盗成ってその差3点と迫ったが及ばず海南中勝つ、伊沢が制球力を欠き終始不安を続けたのが敗因であった。
 斯くして海南中優勝したがはからずも選手中無資格者が出場したことが発覚し連盟は緊急理事会を開いて審議の結果遂に失格となり、第2位の海草中が紀和決勝に出場するという稀らしい球界異変が持ち上がった。

<紀和決勝> 御所工 4-9 海草中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
御所工 0 0 0 0 2 0 0 2 0 4
海草中 3 2 0 2 0 0 0 2 × 9

 海草中は1回3安打、3回死球、敵失で早くも3点、2回2点を加え大きくリードした。御所工は4回表、谷川右翼線二塁打し2四球で満塁となったが後続凡退、5回にも一死満塁の好機をつかみ敵失で2点、8回伊沢投手の乱れに乗じて3個の四球と二匍失で2点を返したが及ばず海草中優勝す。海草中としては御所工の貧攻に救われたが、伊沢投手は制球に難あり、守備陣もエラー多く芳しい成績とはいえなかった。途中、御所工側ファンより金丸選手の資格に就いてアピールあったのに端を発し、多数のファンが球場内になだれ込み審判員が整理に当たななど試合が中断される騒ぎがあった。

全国大会

<2回戦> 海草中 0-3 岐阜商
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
海草中 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
岐阜商 2 0 0 0 1 0 0 0 × 3

 海草中・伊沢投手制球力を欠き1回四球と野選で無死満塁の危機を招き、大場の三匍は本塁に封殺したが、更に併殺せんとした捕手の一塁送球悪く外野に転々とする間に呆気なく2点を与う。海草中の打力全く振わず好球を見のがし悪球に手を出し、遂に無得点に終ったが、岐阜商の攻撃も決して活発なものといえず、5回追加点1点を挙げたのみで貧打戦のそしりは免れなかった。