第47回<昭和40年>全国高等学校野球選手権大会

  • 優勝校 三池工高校 <福岡代表>
  • 紀和代表 天理高校
  • 和歌山県代表 県和商高校

和歌山県予選<7月19日~8月1日>紀三井寺県営球場 参加校27校

<準決勝1> 桐蔭 4-1 笠田
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
桐蔭 1 2 0 0 0 0 1 0 0 4
笠田 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1

 桐蔭はさすがに伝統のチーム。連投の疲れで立ち上り不調の笠田、前田投手をうまく攻めた。まず1回表、前田、横田がよく選んで連続四球で出塁。打者宮崎のとき暴投で二、三進。宮崎は三直に倒れたが、続く和田が左前へ適時打して先制の1点。2回には北邨の左前打を足場に2四球と宮崎の左前打で2点を加え、7回には前田の右越え三塁打のあと再び宮崎の適時打があり、ダメ押しの1点をあげた。
 これに対し笠田は前半桐蔭・角投手の重い球にバットが合わず苦しんだが、後半疲れの見せた角投手を攻め、5回には2四球で二死一、二塁と迫り、6回には一死後から織谷の四球を足場に、生地の右前適時打で1点をかえし、7回にも一死一、二塁と桐蔭をおびやかしたがあせって好機をつぶし、また角投手のうまい配球に攻撃をたたれた。

<準決勝2> 県和商 5-0 南部
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
県和商 2 0 0 0 2 0 1 0 0 5
南部 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

 前半の攻防が勝敗を決めた。県和商は初回一死後から奥上が左前安打して二盗に成功、続く立石の一ゴロで三進、井上はさんざんねばったあげく詰った当りが三塁前の幸運な安打となって1点。さらに窪井の左前打があってこの回2点。これで気をよくした県和商は5回には4安打と1四球でさらに2点を加え、7回には奥上の死球を足がかりに2安打を連ねてダメ押しの1点をあげた。
 南部は4回早川、谷地の連安打から一死二、三塁と攻め、同点のチャンスを迎えたが、鈴木の三塁左の安打性のゴロも三塁手の好守でつぶされた。5、6回には無死で安打の走者を出したが、いずれも次打者の一打が投ゴロになって併殺される不運さ。結局県和商の頭脳的な下手からの軟投が打てず敗れた。

<決勝> 桐蔭 2-3 県和商
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
桐蔭 0 0 0 1 0 0 1 0 0 2
県和商 0 0 1 1 0 1 0 0 × 3

 決勝戦は住時の和中-和商戦を再現する伝統の一戦となった。立ち上がり両軍共、やや堅さが見られたが、1点を争う白熱のゲームとなり、好守の応酬が続いたが、桐蔭・角にやや疲れが多く、終始強攻策で攻め立てた県和商が3-2で辛勝した。
 県和商は3回、先頭の松村が右前打に生き、木村投飛に倒れたあと得津が中前に適時打して一挙に二、三塁とし、当りや奥上は敬遠ぎみの四球で満塁、続く立石が2-3から四球を選んで押出しの1点をあげ先制。4回にも一死から雑賀が左中間に三塁打し、松村の遊ゴロを野手が本塁へ高投した間に雑賀頭からホームにすべり込んで2点目、さらに6回にも雑賀が二塁打して木村の三ゴロに乗じて一挙にホームインした。
 桐蔭は4回1死から和田が遊直失で生き、松本右飛のあと新井が左超え大三塁打を放って和田を迎え入れて同点、松村の今大会中の完封記録を30イニングにとどめて気をはいたが、その裏またも県和商にリードを許し、7回には新井のこの日2本目の長打と宮本の犠飛で2点目をあげ、その差1点と迫ったが、県和商の好守に逃げられた。桐蔭は3回無死から宮本が二塁打で出て犠打で三進したが、当っている前田、横山が県和商・松村のカーブに凡退したのが痛く、昨年に続き優勝を目の前にしながら涙をのんだ。勝った県和商、負けた桐蔭ともにほんとうに立派なファイトで県大会の最後を飾った。

<紀和決勝> 県和商 1-3 天理
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
県和商 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1
天理 1 0 0 0 0 1 1 0 × 3

 天理・外山投手に押さえられたとはいえ、3回表の県和商の足をいかした反撃は見事だった。1回裏味方のボーンヘッドから天理に1点を与え、反撃のチャンスをうかがっていた県和商は、この回、足に自信のもつ先頭打者雑賀が外山投手の第1球をいきなり三塁前にドラッグバント。球はゆるくころがり三塁失を誘発させて出塁、次打者松村は送って一死二塁、木村はよく選んで四球、その瞬間二塁走者三盗を企てた。天理・奥田捕手虚をつかれて三塁への送球が悪く悪投となって左翼に転々、雑賀は三塁をけってホームイン。しかし県和商もこの回同点にしたきりで、5回に一死から四球走者、9回投手強襲内野安打の奥上一人という攻撃で、天理・外山左腕投手の前に追加点をあげることができず敗れ去った。