第89回<平成19年>全国高等学校野球選手権

和歌山大会

<準決勝> 智辯和歌山 6-1 南部
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 2 2 0 0 0 0 0 0 2 6
南部 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

 智辯和歌山が集中打で好投手の岡本亮を攻略した。
 智辯和歌山は1回、二死から勝谷の左中間本塁打で先制。さらに坂口の二塁打と四球で1,2塁とし、浦田の二塁打で1点を加点。2回は植芝、楠本、勝谷の長短打と敵失で2点を追加した。3回からは無安打に抑えられていたが、9回に田村からの4連打と暴投で2点を加えた。
 先発・岡田は立ち上がり制球に苦しんで1点を返されたが、後続を連続三振に打ち取って立ち直り5回まで2安打に抑える好投を見せた。6回から救援した芝田も落差のある変化球を武器に得点を許さず、南部の反撃を抑えた。
 南部は1回、四球の狩谷を犠打で二塁に進めると、暴投の間に一挙生還し、1点を返して反撃した。しかし6回、一死3塁から右翼で狩谷が本塁を突いたが、替わったばかりの宇井の好返球に刺されて得点できず、力投した岡本亮を援護することができなかった。
 南部の先発・岡本亮は3回から8回まで智辯和歌山の強力打線を無安打に抑え、計11三振を奪う好投を見せたが、立ち上がりの失点が最後まで響いた。しかし、3試合連続の2ケタ奪三振など、5試合計44回、51個の三振を奪う力投は本格派の名にふさわし好投であった。

 <準決勝> 市和歌山商 2-4 高野山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
市和歌山商 1 1 0 0 0 0 0 0 0 2
高野山 0 0 0 0 4 0 0 0 0 4

 高野山が5回に相手の守備の乱れを突いて一挙4点を挙げて逆転し、12年ぶりに決勝へ駒を進めた。
 高野山は5回、2連続敵失と死球で無死満塁とすると、暴投でまず1点。さらに下村の右中間適時打に別府の犠飛を絡める攻撃で計4点を挙げた。
 先発した別府の調子が悪く、立ち上がりに4四死球に失策などで2点を先制されたが、2回途中から救援した奥田は市和歌山商打線を2安打に封じ、3塁を踏ませたのは1度だけという完璧な内容だった。味方打線が5回以外再三再四好機を作りながらも、4投手の継投策に阻まれて得点を挙げるとこができず、苦しい展開が続いた。それだけに奥田の好投が光り、決勝進出の大きな原動力となった。
 市和歌山商は1回、2四球と犠打で一死2,3塁とし、平硲の遊ゴロの間に1点を先制。2回には敵失と犠打の一死3塁から辻の右前適時打で1点を加えるなど、理想的な立ち上がりとなった。しかし、投手陣の出来が良くなく、毎回得点圏に走者を置く苦しい展開となり、さらに守備の乱れもあって5回に逆転された。中盤、高野山の2番手・奥田に抑えられていたが、6回、石原の安打と四球などで二死満塁、8回には無死1,2塁、9回にも前畑の二塁打で得点の好機をつくったが、いずれも後続が断たれた。

<決勝> 智辯和歌山 4-1 高野山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 0 0 1 1 2 0 4
高野山 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

 決勝戦は智辯和歌山が高野山を4-1で破り3年連続15回目の甲子園出場を決めた。
 智辯和歌山は先制を許し、高野山・別府の緩急をつけた好投に翻弄され、苦しんだ。しかし6回にとらえてからは小刻みに加点し逃げ切った。
 9回二死3塁。高野山の代打生田のゴロをがっしり受け止めた一塁手の坂口がベースに駆け込み、小躍りした。3連覇の偉業。しかし13安打を放ちながら4得点、15残塁と苦しみながらの勝利だった。
 智辯和歌山は高野山の先発・別府の変化球と荒れ気味の球を打ちあぐねた。6回まで散発の5安打。「我慢して普段通りセンター返しを」、髙嶋監督は選手たちに言い聞かせた。それを実行したのが主将の田村。6回二死2,3塁。田村は外角のカーブを振り切って左前にはじき返し、同点。7回、2試合連続本塁打の勝谷が三遊間を破る安打。続く坂口も、アウトにはなったが右翼へ強烈なライナー。これで別府を引きずり下ろした。継投した奥田から芝田、大島が右前安打を放ち、勝谷が勝ち越しの生還。8回には田村、楠本が連続二塁打、さらに坂口の左前適時打などで決定的な2点を加えた。15残塁と好機を逸する場面が続く試合を、1年生岡田、2年生芝田のリレーで高野山の反撃の芽を摘み、栄冠を勝ち取った。
 先制したのは高野山だった。3回までに岡田に6三振に抑えられていた。しかし4回、別府の二塁打と宮之前の三塁打で先制。7,9回に好機をつくったがあと1本がでなかった。高野山は粘り強い野球でノーシードから勝ち上がり、強豪智辯和歌山に最後まで食い下がったが、19年ぶり2度目の甲子園出場は果たせなかった。

全国大会

<1回戦> 智辯和歌山 2-4 仙台育英
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2
仙台育英 2 0 0 0 0 0 0 2 × 4

 あと一歩及ばずー。151キロの速球が内角低めに決まった。9回、仙台育英の佐藤由規が投げた154球目。楠本が見送って三振に倒れた瞬間智辯和歌山の夏が終わった。
 智辯和歌山は1回戦で仙台育英と対戦。大会屈指の好投手・佐藤由の150キロを超える直球と鋭いスライダーに手こずり、17三振、5安打に抑えられ、2-4で敗れた。
 150キロを超す速球、キレのあるスライダー。大会ナンバーワン投手の佐藤由をいかに攻略するか。智辯和歌山が勝つための絶対条件だった。立ち上がり緊張した先発の岡田が連打を浴びて2点を奪われ、4回まで無安打と苦しい展開。それを打ち破ったのは4番の坂口の一発だった。6回一死から勝谷が四球を選び、続く坂口は「スライダーに自然と反応」して左翼中段に飛び込む本塁打を放ち、同点とした。しかし8回、芝田が仙台育英打線につかまった。二死から安打と四球で、1,2塁。続く橋本にスライダーが甘く入って痛恨の三塁打を浴びた。4回途中に登板して踏ん張っていたが、1球に泣く結果となった。しかし鍛え抜かれた守備は大観衆から賞賛の拍手を浴びた。
 仙台育英は初回、二死2塁から高橋巧の三塁打と加藤大の中前安打で2点を先制。同点の8回、二死から1,2塁とし、橋本の左翼線二塁打で勝ち越した。いずれも二死からの得点で、勝負強さを見せた。剛腕・佐藤由は坂口の本塁打のみに抑え、毎回17三振の奪う評判通りの快投であった。