第20回<昭和23年>選抜高等学校野球大会

<1回戦> 田辺 14-2 岐阜商
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
田辺 2 0 3 6 0 1 1 0 1 14
岐阜商 0 0 0 0 1 0 1 0 0 2

 泥ねいの悪コンディションのもとに開始された田辺対岐阜の一戦は雨中戦にありがちな乱戦となって1回岐阜の先発投手高橋に対し3安打2点を先取気を良くした新鋭田辺の猛攻は3回更に1敵失、3安打で3点を加えた。高橋を退けて好調の波にのる田辺は4回高橋にかわった若い服田を完膚泣きまで打ち込んで一挙6点を加えて大勢を決した。しかしこの逆境にあって試合を捨てず最後まで真面目に試合を続けた岐阜商ナインの立派な態度は学生野球の真のあり方を示したものとして満腔の敬意を表するものである。

<2回戦> 京一商 4-2 田辺
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
京一商 2 0 2 0 0 0 0 0 0 4
田辺 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2

 "田辺の強打は北本投手を打ちこなすかどうか"がこの試合の課題であり、勝敗の分岐点でもあった。スタートの北本は制球決まらず低めを狙う速球がボールとなって京一商の前途を暗くしたが回が進むにつれて立直り速球を外角に投げ込み、さらにアウドロをウイニングショットとする力投は田辺の弱点をついた。田辺は6回二死後岩本の中前小飛球は幸運の安打となり2点を回復、7回先頭打者寺本は二塁打したが北本はアウドロで後続打者をあざやかに断った。
 一方京一商の攻撃は田辺寺本投手の平凡な直球をそろえてくる第一球をねらう積極打法がうまくあたって1回1四球2安打で2点、3回田中三塁打し本塁を欲張って刺された一死後から2安打と田辺内野の乱れもあって再び2点を加えて勝利を不動の4点を獲得、田辺後半の追撃を振り切ってゴールに突入した。