第28回<昭和31年>選抜高等学校野球大会

<1回戦> 日高 1-1 滑川
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
日高 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0
滑川 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
日高 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2
滑川 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

 日高は前半滑川藤繩投手の速球に振り遅れて打撃は振わなかったが後半に入ってミートを主とする打撃に切り替えたことが成功して藤繩を打ち崩し快勝した。前半凡退を重ねた日高は6回に入って先ず玉置忠が中前安打に出て三木は一、二塁間、藤川も右前に安打を放ち無死満塁の好機を迎え楠の遊ゴロで1点。森本の中前安打で三木還り2点目を挙げた。藤縄の外角をつく投球に対し日高は短く右翼をねらった策は巧いものだった。滑川は1回、5回共に無死で走者を出したが、日高の玉置投手の外角をつく直球と内角に切れ込むインドロに悩まされて打てず遂にシャット・アウトに敗れた。

<2回戦> 日大三 4-2 日高
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
日大三 0 0 0 3 0 0 0 1 0 4
日高 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2

 両軍の実力は全く互角のため1点を争う好試合を展開した。並木投手もカーブが定まらない不安な投球振りで日高はこの虚に乗じて1回藤川の三塁線を襲う適時安打で安打の田端、四球の三木の両者を迎え入れて幸先のよいスタートを切った。ところが並木は2回以後やゝ立直りスローカーブと重い球質の速球で日高を迎えたので3回まで日高玉置忠のカーブを打ちあぐんで鳴りをひそめていた日大三もやっと落ち着きを取り戻し4回初めて迎えたチャンスを実にうまくものにして終わった。即ち田島の安打に続く石井のバントは野選となった上捕逸で二、三進したのは幸運だが強打の並木が前進守備の一塁を突破、森田が初球を中前に快打したのと適時打が連発、しかも重盗で遂に1点をリードするなど試合巧者らしい攻めぶりを示した。
 日大三8回にも2個の失策からチャンスを摑み日高玉置忠は並木を敬遠して3者三振に打ち取る苦心のピッチングをみせたがその並木が自ら一、二塁間に挟まれ、その間隙をついて三塁走者、田島がホームインしダメ押しの1点を加えた。この得点といい8回日高必死の反撃を封じた遊撃手の隠し球など日大三には都会チームらしい抜け目のないプレーが見られ、これが日高守備陣の自滅と共に勝敗の分岐点となったようだ。