第29回<昭和32年>選抜高等学校野球大会

<2回戦> 八幡宮 2-1 新宮
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
八幡宮 0 0 0 0 0 0 1 1 0 2
新宮 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

 新宮の巨漢投手米川は立ち上り制球難で二死満塁のピンチを招いたが、その後は立ち直って6回まで八幡を1安打に抑えるという力投ぶりであった。そして4回鈴木の適時打で挙げた1点をよく守り通していたのだが新宮はどうしたことか、この好投の米川を7回退け技巧の橋爪に継投させた。この意外な投手起用が結局新宮の破局を招く結果となったから皮肉である。即ち橋爪は浜田に四球、沢に安打、今岡に死球とたちまち満塁のピンチを招く有様、藤田打者の時八幡はスクイズに出たがこれは失敗、しかし三塁手の悪投で八幡は幸運の1点を拾った。この後スクイズ失敗で勝ち越しの機会を失ったが、8回尚も制球難に悩む橋爪から八幡は四球と2安打で二死満塁と詰め寄り柴田が四球押し出しの決勝点を挙げ辛勝した。新宮は最終回、田渕が左中間に快打し一挙に本塁を衝いたが、八幡の巧みな送球にあって無念本塁で憤死するなど不運な試合で敗れたが、7回の投手交代の失敗が命取りとなったといえよう。