第2回<大正5年>全国中等学校野球選手権大会

紀和大会

 前年、和歌山中が優勝して大阪代表が本大会に出られなかったのは地元主催地として、真に遺憾であるとの声高まり、この年より関西大会と大阪・紀和に二分して予選が行われた。

<決勝> 和歌山中 19-4 高野山中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山中 3 0 0 0 5 3 5 2 1 19
高野山中 1 1 0 0 0 1 0 1 0 4

 新進・高野山は前日と打って変わって振わず、エラー続出し、和歌山中1回に3点、5回5点、6回3点、7回5点と後半毎回得点を重ね、高野山は9安打を放ちながら散発に終わり全く一方的に和歌山中が大勝した。前半善戦しながら後半崩れたのは守備の破綻が大敗を招いたといえる。

全国大会

<1回戦> 和歌山中 2-1 鳥取中
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山中 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2
鳥取中 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

 鳥取は打てず、1回三匍暴投に1点先取したのみ。和歌山中は2回長岡遊匍失に一挙二進、小川のバント安打となって一・三塁となり柳とのスクイズに1点。紀のバントは看破され小川三・本間に挾殺されたが、柳三盗の時、捕手三塁へ暴投して1点を追加。その後波乱なく和歌山中の攻撃も散発安打に終わり制勝した。

<2回戦> 和歌山中 6-4 広島商
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山中 0 0 1 0 1 0 0 3 1 6
広島商 0 0 0 0 0 0 4 0 0 4

 和歌山中は3回・5回小刻みに得点を重ねリードしたが、広岡7回牛尾四球、増岡・島田の安打と三進の走者を刺さんとして9-2-5の送球外れ外野に転々とする間に走者を一掃し、更に二死後、石本の左中間三塁打と遊匍失に一挙4点を奪って逆転した。しかし、和歌山中は屈せず8回奥山一塁失に無死走者を出すや、得意のバント攻めが功を奏し敵陣をかき乱し再度逆転、9回に止めの1点を加えて快勝した。

<準決勝> 和歌山中 3-7 慶応普通
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
慶応普通 0 1 0 0 1 1 0 0 4 7
和歌山中 2 1 0 0 0 0 0 0 0 3

 和歌山中は1回奥山・中前安打しバント攻めが悉く内野安打となって2点を挙げ、2回にも紀スクイズ失敗に小川挾まれたが三塁手の失策に救われて生還、計3点を挙げ押し気味に見えたが、慶応は2回二死後、足立右翼本塁打し5回2安打に各1点、6回にも二死後、四球に1走者を出し重盗を企て成功し同点に追いつき、9回さらに当たり屋足立安打しバントと野選で生還したのを足場に和歌山中の内野陣を乱し、加うるに山口左翼越本塁打を雄飛し大きく引放した。和歌山中は折角前半リードしながら、健闘空しく慶応の試合巧者に屈したゲームであった。