<本大会の記録>

新宮の前岡、武生の牧野は4回まで対等の投球をみせたが牧野は5回前岡、岡田卓の好打で得点を許し、更に6回長嶋の安打を機に1点を追加された。武生にとって惜しまれるのは6回二死満塁を失ったこともあるが何より2回の逸機が痛かった。一死後牧野が安打、藤吉の中越二塁打で二、三塁の好機を迎え楽田の一撃は一瞬一塁を抜いたかと見えたが、前身守備を布いた清水の好捕にあい三塁走者牧野が三本間に侠殺に仆れてしまった。若しここで武生が先取点を奪っておればこの一戦はより力のはいったものとなったに違いない。

新宮前岡投手は制球の乱れもなくこの試合ではインドロに冴えを見せて好打を誇る北海の攻撃をよく抑えた。一方北海の田村も対福島戦とうって変わって好投し球そのものは平凡だったが徹底して低目をつく投法バックスの好守と相待って新宮に乗ずる隙さえ与えなかった。試合は坦々たる投手戦の中に延長戦に入り北海11回好機をつかんだが併殺を喫すれば、新宮も12回岡田守が最初の安打を放ったが由谷の三邪飛にダブられた。17回新宮は一死後、岡田守が右翼二塁打し由谷三振後、長嶋左中間を破る三塁打を放って貴重な1点を奪い快勝した。岡田守、長嶋の好打は正に殊勲甲といえよう。

<準決勝>

新宮は開戦直後凄い気迫で中山に体当たりを食わした。やや受身に立った中京中山投手は新宮に先手を取られて2回は甚だしく球道を乱し1点を返したが尚新宮は優位を占め前半は仲々興味深いものとなった。新宮前岡が真向から投げ込むドロップは可成り威力を示し、中京の強打者も打ち崩すことができなかった。中山は2回の乱調子から立ち直り両投手秘術を尽くしての対戦となった。4回表までリードした新宮はその裏中京の反撃を抑えきれず中山弟の長打に2点を許して逆転。更に5回裏三塁手の連失から1点を追加された。前岡は愈々精魂を尽して6回には2者を連続三振に葬り健斗したが新宮の武運は後半に恵まれず4-2のスコア一に変化が起こらず善戦も甲斐なくそのまま敗れた。勝敗の岐路をなしたものは内野手の失策もあるが矢張り攻撃面に力を持つ中京が順当の勝利を示したものというべきであろう。それにしても大敵を恐れず正面から鉾を交えて殆ど対等に試合を斗いぬいた新宮の意気込みと前岡の好投は見事なものであった。