第74回<平成4年>全国高等学校野球選手権

和歌山大会

<準決勝> 智辯和歌山 2-1 耐久
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
智辯和歌山 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 2
耐久 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

 打力に勝った智辯和歌山は延長11回に集中打を浴びせ、2時間38分の熱戦に終止符を打ち、2年連続の決勝進出を果たした。
 この回先頭の藤田が投手の足元を抜く安打。強攻策で園山が一塁手の左を抜いて一、二塁に。バントは失敗し走者が入れ替わった直後、ヒットエンドランのサイン。高嶋が外角低めをチョコンと合わせた球が二塁手の頭を越えて右前へ。二塁走者園山が生還し勝ち越し点。
 耐久は6回、成川四球、坂部左前打で一死一、三塁。白井壮が飛びつきながらスクイズを決め、同点。11回二死一、二塁と迫ったが、右中間への福田善の痛烈な当たりを右翼手に好捕され、初の決勝進出を阻まれた。

<準決勝> 日高中津 3-2 南部
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
日高中津 1 0 0 1 0 0 0 1 0 3
南部 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2

 終盤まで息詰まる接戦を展開したが、先行し気迫に勝る日高中津が、南部の猛追を振り切り、初めて決勝へこまを進めた。
 日高中津は1回、一死後、岡田が右翼左を抜く二塁打、檀本が左前安打して先制。4回にも二塁打の檀本が果敢に三盗、中野の左翼越え二塁打で加点、8回には谷本、稲葉両投手から盗塁をからめた3安打でダメ押し点をもぎとった。
 南部は9回、稲葉が左前安打で出塁、中尾の左中間二塁打で1点を返し、好投の林投手を引きずり降ろした。二死後、敵失で1点を奪い、なお一塁と粘ったが、中飛で万事休した。6回、一死二、三塁での強攻策失敗が最後まで響き、春、夏連続出場の夢は断たれた。

<決勝> 智辯和歌山 7-2 日高中津
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 1 2 1 0 0 0 0 3 0 7
日高中津 0 0 1 0 0 0 1 0 0 2

 「攻撃力があるのに表に出てこない」智辯和歌山・高嶋監督を心配させていた打線が、この日本領を発揮。日高中津を圧倒した。
 「林投手の内角は2ストライクまで捨てて、甘い球を狙え」という監督の指示が的中した。
 1回、先頭打者友永の四球を足がかりに二死一、二塁、藤田の中前適時打で友永が一気に生還して1点。2回には二死から楠が安打、四球、狗巻右前安打で満塁。投手が檀本に代わった。湯浅の右翼の右を破る二塁打で走者2人がかえり2点。3回には杉浦の左越え本塁打。序盤で試合の流れを決めた。
 さらに8回、昨夏の決勝で先制の3点本塁打を放った湯浅が、この日も3点本塁打。日高中津の反撃ムードを断った。
 高嶋監督はこの日、3回戦の串本戦で好投した2年生投手楠をマウンドへ。「緊張した」という楠は1回、先頭打者加藤に左中間二塁打された。二死満塁のピンチ。やっと林を左邪飛にしとめ、難をのがれた。その後は「点を取ってくれたので楽になった」と、2点を奪われながらも、勢いに乗る日高中津を散発6安打に抑えた。
 日高中津・垣内監督は主戦林、檀本の2人に最初から「ランナーがたまったらいつでも檀本に代えるぞ」と告げていた。
 2回、二死満塁のピンチ。日高中津のマウンドには林に代わり、檀本が上った。「抑えた」と思ったが湯浅の打球は右翼横を抜く二塁打。「相手がうまい」と振り返る。
 8回にも檀本は二死一、三塁で湯浅を迎えた「外角直球を打たれたから次は内角に」。そう思ってストライクを取りにいった初球。審判のコールは「ボール」。「えーっ」と悔しがる。気を取り直して投げた2球目は、内角やや高めに浮いてしまった。金属音を残し、湯浅の打球は左翼席へ。檀本はマウンドにうずくまった。
 だが、中盤4回から7回まで林、檀本の継投が成功。智辯和歌山を散発2安打、4三振に抑える力投ぶりだった。
 試合後2人の投手は「120パーセントの力を出し切りました。満足です」。笑顔を見せていた。

全国大会

<2回戦> 智辯和歌山 3-4 拓大紅陵
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 0 3 0 0 0 0 3
拓大紅陵 0 0 0 0 1 3 0 0 × 4

 攻勢に転じたら、一気にたたみかけるのは勝負の鉄則。拓大紅陵の決勝点がそうだった。
 6回の二死二塁から紺野、立川の長短打で同点。この直後に仕掛けた。木内の2球目にヒット・エンド・ラン。打球は右翼線二塁打となり、立川が一塁から生還した。簡単には点を取れない二死一塁の場面から見事に勝ち越した。
 智辯和歌山は4回、藤田が左翼へ痛烈な3点本塁打を放ち優位に立った。しかし、拓大紅陵の2投手に12三振を喫する粗さがたたり、追加点を挙げることが出来なかった。