第92回<平成22年>全国高等学校野球選手権大会

和歌山大会

<準決勝> 智辯和歌山 9-7 市和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 1 2 0 4 0 2 9
市和歌山 1 1 0 0 1 0 3 0 1 7

 もつれにもつれた試合。智辯和歌山が相手投手の制球の乱れをついて得点し、粘る市和歌山を振り切った。
 1点リードされた智辯は5回、二死1,2塁から城山の右翼線二塁打で2点を挙げて逆転。これが大きな分岐点となった。同点で迎えた7回、瀬戸の左前安打と四死球で一死満塁とし、西川遥の右前安打で勝ち越し。さらに四球と連打で3点を加え、9回にも西川遥の二塁打と3四死球、暴投を絡めて2点を挙げて試合を決めた。
 3回からマウンドにあがった上野山は、制球に苦しみながらも威力のある直球に大きく曲がる変化球で7回途中まで市和歌山打線を抑え、救援した宮川も、9回に4安打されたが、なんとか逃げ切った。
 市和歌山は1回、淺尾の左前適時打で1点を先制。2回にもスクイズで1点追加。逆転された5回には阪口の適時打で同点に追いつき、4点を奪われた直後の7回、敵失でまず1点。さらに二死満塁から高瀬の右前安打で2点を奪って1点差に詰め寄った。差を広げられた9回にも4安打で1点を返すなど、再三智辯をひやりとさせたが、力尽きた。

<準決勝> 桐蔭 2-6 向陽
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
桐蔭 0 0 2 0 0 0 0 0 0 2
向陽 2 0 0 1 2 1 0 0 × 6

 向陽は、主戦・藤田が4回以降3塁を踏ませない好投を見せ、打線もつながった「古豪対決」を制し、36年ぶりの決勝進出を果たした。
 向陽の藤田は力みの抜けたフォームから決め球のスライダーが低めに決まり、失点した3回以外安打を許さなかった。失策以外走者を出さず、無四球の好投で決勝進出への原動力となった。
 打線も藤田を援護した。初回西山の二塁打で2点を先制。同点の4回二死2塁で、鈴木が右中間に二塁打を放ち、藤田が生還して勝ち越し点を挙げた。5回にも内野安打と四球や盗塁で二死2,3塁とし、大槻の中前への貴重な適時打で2点を挙げて桐蔭を突き放した。
 桐蔭は2点をリードされた3回、内野安打の走者を2犠打で確実に三進させ、生馬、中村の長短打で同点にした。しかし、3回を除いて打線が藤谷無安打に抑えられ、投手陣も10四死球を許して劣勢につながったのが悔やまれる。

<決勝> 智辯和歌山 6-3 向陽
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 2 0 0 0 0 0 3 1 0 6
向陽 0 0 1 0 0 0 1 1 0 3

 今春の選抜大会出場校同士の顔合わせとなった決勝は、1回から積極的に攻めた智辯和歌山が6-3で向陽を下し、6年連続18回目の優勝を果たした。大会6連覇は戦後初めての快挙である。
 6年連続の甲子園を目指す智辯は勝負強い試合運びを見せた。1回一死後、岩佐戸が中前にはじき返して出塁。西川遥輝とのヒット・エンド・ランで一気に3塁へ。四球で満塁とした後、暴投で先制。さらに道端の中犠飛で2点目を入れた。中盤は智辯・青木、向陽・藤田の投げ合いで緊迫した展開となった。が、1点リードの7回智辯は一挙に向陽を突き放した。左前安打で出塁した瀬戸を犠打で送り、小笠原の安打で一死1,3塁とした後、青木の強襲安打でまず1点。捕逸で2,3塁とし、城山の犠飛と岩佐戸の中前安打でさらに2点を加えた。8回にも青木の二塁打で加点し、試合を決定づけた。
 思い切った継投策も見事に決まった。1回二死で青木を援護に送る。青木が8回の先頭打者に二塁打を打たれると、上野山にスイッチ。粘る向陽の攻撃をしのいだ。
 向陽は3回、二死2塁から山本が中前へはじき返して1点。7回にも二死3塁から鈴木の適時打で1点加え、8回には交代したばかりの上野山を攻め、一死満塁から藤田の四球で1点。しかし、続く代打長田の鋭い打球が遊撃手の正面を突いて併殺になり、反撃もそこまでだった。
 向陽の先発藤田は10安打を打たれながらも、粘り強い投球で投げ切り、特に中盤、智辯の強打線を抑えた投球は見事だった。

全国大会

<1回戦> 智辯和歌山 1-2 成田
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1
成田 0 0 0 0 2 0 0 0 × 2

 智辯和歌山は成田と対戦し、相手を上回る6安打ながらも1点しか奪えず、成田の主戦・中川に14三振を喫するなど自慢の打線がつながらず、1-2で惜敗した。
 智辯は1回、二死から西川遥が四球を選び、すかさず俊足を飛ばして二盗。最初のチャンスをつかむ。だが、4番山本は三振に倒れた。5回には小笠原が二塁打を放つもあと1本が出ず、その裏逆に先制された。しかし6回にすぐ反撃した。先頭の城山は敵失で出塁し、犠打で二進。二死後、山本は外角低めのスライダーを逆らわず、中前にはじき返す技ありの適時打で1点を返した。
 流れが次第にくるなかで7回、中村が中前安打で無死1塁。犠打と青木の内野安打で一死1,3塁。しかし、後続が連続三振に打ち取られ、追いつけなかった。智辯の強力打線は中川の緩急をつけてコーナーを突く配球、切れのあるスライダーに最後まで苦しめられた。
 好右腕との投げ合いという重圧が2年生投手2人を力ませた。上野山は5回に適時二塁打を打たれ、直後に救援した青木は適時打を浴びた。しかし、成田を4安打に抑えたことは大きな自信となるだろう。