第93回<平成23年>全国高等学校野球選手権

和歌山大会

<準決勝> 伊都 2-11 智辯和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
伊都 0 0 0 2 0 0 0 0 0 2
智辯和歌山 3 0 0 4 2 0 0 2 × 11

 智辯和歌山が長打と小技を織り交ぜて効率的に加点し、快進撃してきた伊都の勢いを止め、7連続の決勝進出を決めた。
 智辯和歌山は1回、先頭の嶌が中越え二塁打で出るとすかさず犠打。3四死球と小笠原の適時打で3点を先制した。1点差とされた直後の4回には、小笠原の安打から四球、犠打で2,3塁とし、嶌は大会タイの二塁打3本を記録した。
 智辯和歌山先発の青木は11安打を浴びながらも要所を締め、8奪三振2失点で完投した。
 伊都は4回、森田の二塁打を含む4本の長短打で2点を奪った。相手と同じ計11安打を放ったが、三振で好機を断ち切られた。

<準決勝> 市和歌山 7-2 南部
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
市和歌山 0 2 2 1 0 0 1 1 0 7
南部 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2

 打線が好調な市和歌山が4回までに5点を挙げて南部を圧倒し、7年ぶりの決勝進出を果たした。
 2点リードされた市和歌山は2回、上の右前安打から好機をつかみ、砂原の中前適時打と押し出し四球で同点とした。3回には浜田の右越え本塁打で勝ち越した。浜田は7回には三塁打を放ち、続く上の右前安打で6点目の本塁を踏んだ。8回二死2塁では、これまで不振であった4番・安陵にも適時二塁打が出てダメ押し。主戦・上は徐々に調子を上げ、2回以降は相手に三塁を踏ませなかった。
 南部は1回、四球の久保を犠打で送り、松根の適時二塁打と大野の右前適時打で2点先制したが、先発大野の制球が定まらず、畑木、秦地と併せて計9四死球を与え逆転を許した。また3,4回には暴投で1点ずつ失ったのも痛かった。

<決勝> 市和歌山 1-7 智辯和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
市和歌山 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1
智辯和歌山 2 2 0 1 0 2 0 0 × 7

 智辯和歌山が攻守ともに市和歌山を圧倒して7-1で破り、7年連続19回目の優勝を果たした。大会7連覇は戦後初。智辯和歌山は春夏通じて5季連続の甲子園出場となる。市和歌山の先発大野は球が高めに浮いたのを見逃さず、長打攻撃で優位に立った。智辯和歌山の先発青木は、緩急をつけた投球で市和歌山打線に狙い球を絞らせなかった。
 智辯和歌山は1回、二死後に山本が流し打って左越え本塁打で先制。2回にも嶌が逆風をついてライナー性の2点本塁打を右翼席に運んだ。
 3回からは市和歌山の主戦・上がマウンドに上がったが、犠打も使って好機を着実なものにしていった。6回、四球で出塁した先頭の嶌を川崎が犠打で送り、四球、遊ゴロで二死2,3塁として宮川が左翼線へ2点二塁打を放った。
 先発の左腕青木は、連打を許したのは6回のみ。変化球と直球の緩急の使い分けが功を奏し、市和歌山の中軸の3人をわずか1安打に抑え、一人で165球を投げ切った。
 市和歌山は5点を追う6回、先頭の砂原が右前へ、続く三家が中前へ連打。4番安陵の打席で5球目が暴投となり、走者が2,3塁に進んだ。安陵は三振に倒れたが、続く浜田がストレートの四球で満塁。瀧川が2ストライクと追い込まれながらも、右犠飛を打ち上げ、砂原が生還して一矢を報いた。
 投手陣は、昨秋の新人戦決勝で智辯和歌山相手に好投した左腕大野が先発し、主戦の上が継投したが、相手打線の得点圏での集中力がまさった。

全国大会

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 3 0 2 2 3 1 0 11
花咲徳栄 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1

 智辯和歌山は1回戦で花咲徳栄と対戦。3回に山本の3点本塁打で先制したのをきっかけに、打線が爆発し11-1で快勝した。先発全員安打で、主戦・青木が8回を1失点に抑えた。
 花咲徳栄の主戦・北側の球威に押されていた智辯和歌山打線が爆発したのは3回。青木の北川へのゴロが失策を誘う。続く嶌の打線はまたも北川へ。グラブに当たって今度は内野安打。川崎の犠打で二死2,3塁とし、3番山本が初球の真ん中高めの直球を中越えに先制本塁打。5回、先頭の沼倉が1塁ゴロを俊足で内野安打にすると、青木が犠打で送り、嶌が左越えに適時二塁打を放つ。6回は一死から宮川が左前安打を放ち、二盗。続く平岡の右中間二塁打などで2点を追加した。終盤も力を緩めない打線は8,9回に青木と小笠原に安打が出て先発全員安打となった。
 先発の青木は立ち上がりからやや球が高めに浮き、序盤からたびたびピンチを招いたが、味方の好守にも助けられ3回の1失点で切り抜けた。9回には古田が先頭打者を四球で出しながらも後続を3人で抑えた。
 花咲徳栄は3回に4連打で1点を返すなど10安打を放ったが、要所でボール球に手を出し、青木を攻めきれなかった。

<2回戦> 白樺学園 7-8 智辯和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
白樺学園 0 0 1 0 0 0 4 1 0 1 7
智辯和歌山 2 0 0 1 0 2 0 1 0 8

 打撃戦に決着をつけたのはバントだった。智辯和歌山は2回戦で白樺学園と対戦。終盤に2度リードされる苦しい展開となったが、主将の執念の安打などで追いつき、延長10回、バント安打によるサヨナラで3回戦進出を決めた。
 序盤から智辯和歌山のペースだった。1回、智辯和歌山は2四球と犠打で一死1,2塁の好機に、4番道端の左中間二塁打で2点先制。4,6回にも中軸の適時打で加点した。7回に満塁本塁打で一気に追いつかれ、逆転された8回、すぐさま反撃する。一死2塁で途中出場の主将中村が初球をたたくと、打球は左中間を深々と破る同点二塁打となり、そのまま延長へ。1点を追う10回、中村が右前安打で出塁すると、宮川は内角のスライダーを左翼線二塁打し、中村が一気に本塁にかえり同点に追いつく。なお1,2塁から小笠原のバント安打が三塁手の一塁悪送球を誘って、ボールが転々とする間に二塁走者の宮川が三塁をまわってサヨナラの本塁を踏んだ。
 先発は今大会初登板の上野山。長い腕がしなるように振れ、カーブの制球がよく、直球で三振も奪った。7回、救援した古田が満塁本塁打を浴び、8回にも本塁打を打たれ逆転されるが、主戦・青木が救援し、2三振と投ゴロで後続を断った。
 白樺学園は7回に小林の満塁本塁打で追いつき、その後2度リードを奪ったが、最後に力尽きた。川越の力投も光った。

<3回戦> 智辯和歌山 4-6 日大三
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 1 0 1 0 2 0 0 4
日大三 3 2 0 0 0 0 0 1 × 6

 追い上げもあと一歩。智辯和歌山はベスト8をかけた3回戦で日大三と対戦。5点差からじわじわと加点して一時は1点差まで詰め寄ったが及ばず、4-6で敗れた。
 5点を追う智辯和歌山の反撃は3回。チーム初安打の小笠原を嶌がかえしまず1点。5回には相手守備の乱れから、さらに1点を追加。7回は二死後、嶌が四球を選び、暴投で二塁に進む。続く川崎が低めのスライダーを左翼線にはじき返し、嶌が生還し3点目。そして中村の左翼への三塁打でついに1点差に詰め寄った。しかし、4番道端のファウルフライを相手捕手の美技でつかまれ、追撃は断ち切られた。終盤は強打に足も絡めたが、バントミスなどがあって日大三の吉永を崩せなかった。
 青木―道端のバッテリーは直球中心の配球で挑んだが、日大三の打者は甘い球を逃さずフルスイング。ミスも重なり2回までに5点を失った。青木は3回以降、変化球主体の投球に切り替え、強力打線を翻弄する。相手のスクイズを読んで球をはずすバッテリーの好判断も光った。
 先手を取った日大三は中盤抑え込まれたが、1点差に迫られた8回、菅沼のソロ本塁打で突き放し、逃げ切った。吉永は8安打を浴びながらも12三振を奪い要所を締め、また味方の好守にも助けられた。