第95回<平成25年>全国高等学校野球選手権

和歌山大会

<準決勝> 和歌山東 0-8 箕島
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山東 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
箕島 0 1 1 3 0 2 1 0 × 8

 箕島が投打で和歌山東を圧倒し、25年ぶり15回目の決勝進出を決めた。
 2回、一死から泉と村田の連続安打で1,3塁とし、須佐見のスクイズで先制。4回には、二死1,2塁から中西が中前安打、山下が左越え二塁打と連打でたたみかけ、前半で主導権を握った。13安打にスクイズや盗塁などの小技もからめる会心の攻めだった。投げても須佐見が伸びのある直球を主体に、要所を締めて完封した。
 和歌山東は1,8回に先頭打者が安打し3塁まで進んだが、あと1本が出ず、反撃のきっかけをつかめなかった。

<準決勝> 日高中津 5-8 南部
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
日高中津 0 0 0 1 2 0 2 0 0 5
南部 5 1 0 0 0 2 0 0 × 8

 南部が初回、集中打で大量点を奪って勢いに乗り、追いすがる日高中津を振り切って4年ぶり10回目の決勝進出を決めた。
 1回、一死から葛城の左安打を皮切りに8連続安打の猛攻を見せ5点を先制。3点差に迫られた6回には、安打と敵失などで2点を追加し突き放した。
 日高中津は中盤に反撃。さらに7回、先頭の山田が左翼へ二塁打を放った後、杉山の右前適時打で1点。さらに四球と安打で無死満塁とし、古林の左前適時打でこの回2点目を挙げた。
 なお無死満塁と攻めたが、後続が凡退し、絶好の好機を逸したのが痛かった。

<決勝> 箕島 10-1 南部
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
箕島 0 1 0 0 3 0 6 0 0 10
南部 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1

 強い箕島が帰ってきた。先制した箕島が中盤以降も得点を重ね、10-1で南部に圧勝。参加39チームの頂点に立ち、29年ぶり8回目の甲子園出場を決めた。
 今大会、相手に一度もリードをゆるさず決勝へ進んだ箕島が、決勝でも投打ともに本領を発揮した。
 2回、一死から泉が左翼手の頭上を越える二塁打でチーム初安打を記録すると、村田も左前へ打ち返して1,3塁。続く須佐見が2-2から低めの難しい球をスリーバントスクイズで先制した。須佐見は準決勝でも先制のスクイズを成功させており、2試合連続で鍛えた技を発揮した。圧巻は7回。一死1塁から山下らが4連打して3点を追加。さらに須佐見がこの日2本目の犠打で二死2,3塁と好機を広げ、権城、森下の長短打で加点し、継投でかわそうとする南部投手陣を打ち砕いた。
 先発の右腕・須佐見は立ち上がりから制球がさえ、早いカウントで打者を追い込んで有利に立った。5回までの投球数は無四死球で52球と少なく、101球で完投した。守備陣も安打性の打球に飛びついて好捕するなど、無失策の堅守で援護した。
 南部は6回二死、葛城が四球を選んで出塁し、続く柴田、山下が左前へ連打して1点を返した。しかし5回には二死から那須の右越え二塁打で好機を作ったが、牽制アウトに。8回には須佐見から2個目の四球を得たが、後続が併殺打に倒れ、準決勝で大会タイの8打者連続安打を記録した打線は不発に終わった。
 決勝を含む5試合を先発登板した2年生投手・松田は、序盤は箕島から3三振を奪うなど投球に勢いがあったが、ボール球が多く、箕島打線に見極められた。

全国大会

<1回戦> 日川 4-2 箕島
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
日川 1 0 0 1 1 1 0 0 0 4
箕島 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2

 29年ぶりに夏の甲子園に戻ってきた箕島に、大きな壁が立ちはだかった。身長194㌢の相手主戦の前に、持ち味のつなぐ打線が本領を発揮できず、惜しくも敗れた。3本塁打を浴びながらも力投したエースを野手陣がもり立てるなど、尾藤強監督がチームに浸透させた「全員野球」を最後まで貫いた選手らに、応援席から大きな拍手が送られた。
 ソロ本塁打3本でリードされる苦しい展開。めざしてきた全員野球で粘りをみせたが、相手エースの丁寧な投球に、持ち味のつなぐ打線は寸断された。
 箕島の先発は須佐見。1回表、三振と左飛で簡単に2アウトを取ったが、3番山田に内角直球を左翼席へ運ばれ、和歌山大会で一度も許さなかった先取点を奪われた。4回表には、4番山形に初球を柵越えされ、5回表にも二死から1番広瀬に一発を浴びた。
 箕島打線の反撃は5回裏。左中間二塁打の村田を犠打で3塁に進めると、権城が中堅後方に大飛球を放った。惜しくも相手の好守に阻まれたが犠飛となり、1点を返した。さらに続く森下が三塁打を放ち、捕逸で生還。「山梨のダルビッシュ」の異名をとる主戦・山田から計2点を奪った。
 2点を追う9回裏。「最後まで甲子園を楽しもうと、思い切り振った」という村田が一死から右前安打。その後二死2塁となり、権城が打席に立った。5球目を鋭く振り抜いた。正捕手の思いがこもった打球はスタンドに向かって飛んだ。だが、フェンス手前で失速し右翼手のグラブに収まった。