第99回<平成29年>全国高等学校野球選手権

和歌山大会

<準決勝> 和歌山東 3-4 紀央館
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山東 0 1 0 0 1 0 0 1 0 3
紀央館 0 0 2 0 0 2 0 0 × 4

 紀央館が追い上げる和歌山東を振り切り、初の決勝進出を決めた。
 先発石方は長打を浴びた後の打者を冷静に抑えて逆転を許さず、4試合連続で完投勝利。打線も石方の力投に応え、3回に中村の三塁打などで逆転。同点の6回には石方と山村の連続適時二塁打で2点を勝ち越した。
 和歌山東は2回に竹内の本塁打で先制。同点に追いつく5回の奥村の三塁打、1点差に迫る8回の池田の本塁打といった長打攻撃で追い上げたが、及ばなかった。

<準決勝> 智辯和歌山 8-3 市和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 1 1 0 2 0 0 0 0 4 8
市和歌山 1 0 0 0 0 1 1 0 0 3

 智辯和歌山が打力で上回り、2年ぶり23回目の決勝進出を決めた。
 11回、森本、林、蔵野の3連打で先制。2回にも1点を加え4回には富田の本塁打などで2点。1点差で追われる9回は死球出塁の西川を犠打などで進めスクイズ。さらに蔵野、冨田の連続適時打もあり、この回計4点を挙げた。
 市和歌山は1回、3塁走者が内野ゴロの間にかえり同点。6回には薮井の二盗が敵失を誘い1点。7回は小倉の適時二塁打で1点差に迫った。守備では3併殺を奪うなど粘りを見せた。

<決勝> 紀央館 2-3 智辯和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
紀央館 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2
智辯和歌山 2 0 0 0 0 0 1 0 × 3

 この夏の頂点がついに決まった。これまでよりも、はるかに多くの歓声がこだました紀三井寺。決勝は、今大会を象徴するかのような接戦となり、歓喜の瞬間は唐突に訪れた。智辯和歌山が2年ぶり、22回目となる優勝と夏の甲子園出場を決めた。
 智辯和歌山が1点を争う試合で終盤に競り勝った。1回、紀央館・石方の立ち上がりを攻める。1番の大星が四球を選び森本の犠打の後、林の右越え本塁打で2点を先行した。2回以降は打たせてとる石方の投球を攻めあぐねたが、6回から継投した田染を7回の捕まえる。先頭の森本が左前安打で出塁し二盗、蔵野の左前適時打で1点を勝ち越した。今大会初先発となった主戦の黒原は序盤の失点の後は調子を上げて立ち直った。9回途中から継投した大﨑もピンチを切り抜けた。
 紀央館は2点を追う2回、中村、徳永の連打と石方の犠打で一死2、3塁とし山村の犠飛で1点。続く小竹に左前適時打が出て同点に追いつく。1点を追う9回には、中村、徳永、石方の3連打で一死満塁の好機をつくった。最後は遊撃手への当たりが併殺となった、智辯和歌山にあと一歩まで迫った。今大会、これまでの4試合を一人で投げてきた先発の石方は強力打線を相手に5回までで2失点。6回から継投した田染も1失点と粘りの投球だった。

全国大会

<1回戦> 智辯和歌山 9-6 興南
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 2 4 1 0 1 1 9
興南 0 0 6 0 0 0 0 0 0 6

 和歌山代表の智辯和歌山が2011年夏に2勝を挙げて以来、6年ぶりに甲子園で白星をつかんだ。投打に2年生が躍動し、9-6で沖縄代表の興南に逆転勝利。
 智辯和歌山が6点差をひっくり返した。3回にいきなり6点を先制された直後の4回、敵失を足がかりに一死満塁の好機をつくると西川と平田の連続適時打で2点を返す。さらに5回には、林と冨田がそろって2点本塁打を放ち、一気に同点。試合の流れを引き戻した。そして6回、3連続四球で満塁とし、4番蔵野が左前に適時打を放ち勝ち越し。和歌山大会決勝と同じく勝負強さを見せた。8回は林の中犠飛、9回は冨田の適時打で加点し、勝利をぐっと引き寄せた。先発の北は、2回まで打たせて取る投球で危なげない立ち上がりを見せたが、3回に突如崩れ降板。継投した平田は140キロ前後の直球と変化球を織り交ぜ、6回3分の1を無失点。髙嶋仁監督の甲子園監督通算最多勝記録を64勝に更新した。
 興南は3回に打者一巡の攻撃で6点を先取したが、投手陣が崩れ、その後は相手の2番手平田にかわされた。

<2回戦> 智辯和歌山 1-2 大阪桐蔭
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1
大阪桐蔭 1 0 0 0 0 0 1 0 × 2

 智辯和歌山は今春のセンバツ覇者・大阪桐蔭と対戦し、1-2で敗れた。一球一打に湧き上がるスタンドからの歓声。敗れはしたものの王者を相手に最後まで互角以上の戦いを見せた選手たちに、4万7千人からの惜しみない拍手が送られた。
 1点を追う4回、黒川の左越え二塁打を口火に東田の内野安打などで一死満塁の好機を作る。初戦の興南戦で4安打3打点と活躍した冨田が初球の直球を左前にはじき返して同点に追いつくとスタンドは大歓声に包まれた。5回と7回にも無死から走者を出すが、つながりを欠き、本塁が遠い。再び1点を追う9回には、一死1、2塁の好機を作ったが、併殺に倒れ試合終了。先発の主戦・黒原は初回に先制され、2、3回も走者を背負うなど苦しい立ち上がりに。しかしここから粘りの投球を見せる。緩い変化球を軸に打たせてとる投球で、スコアボードに0を並べていく。同点で迎えた7回裏、6回途中から代わった平田が先頭打者に二塁打を打たれ、犠打で3塁へ。その後二死となり、捕手の蔵野はスライダーを要求。ワンバウンドした球が、捕手の後ろにそれる間に勝ち越しの生還を許した。智辯打線は相手を上回る12安打を放ちながら再三の好機に決め手を欠き、7回、走塁ミスが響いて勝ち越し機を逸したのが痛かった。
 大阪桐蔭は1回、4番根尾の中前安打で先制。同点の7回は泉口の右翼線二塁打と犠打で二死3塁とし、暴投で決勝点を奪った。先発・徳山は12安打を許すも、好守に助けられ1失点で完投した。