第1回<大正13年>選抜中等学校野球大会

<1回戦> 和歌山中 6-7 高松商
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山中 0 1 2 0 2 0 1 0 0 6
高松商 1 0 1 0 0 1 1 0 3 7

 アウトコーナーを得意とし球勢をかりてストレートで牛じっていこうとする和歌山中・野田と、インコーナーを得意としてカーブでとっていく高松商・松本の球道と戦法の対照は実に面白いゲームが見られた。両者ともに現今中学チーム打撃の欠陥を一つずつねらっているわけだが、球のコンビネーションで野田に一歩を許さねばならない松本は、立派な球道をもちながら乱打されたことは今後大いに心すべきであろう。村川の一打でゲームは逆転したが野田は将来の大ものとして希望しておく。6回和歌山中・由良の二塁ライナーをシングルで楽々ととった高松商・村川のプレー、8回由良の一塁右のライナーをつかんだ一塁手のプレー、あるいは田島・野田・野村などのすばらしい打撃は中等学校の花とすべきものであるが、いまだに二塁スチールの研究の不足はいわゆる中等学校野球チームの城を脱せざる感を深くした。落ちるアウトドロップで篭絡し去った野田のピッチングはまさに大投手の感があったが、私の中等学校チームが打撃、守備の研究に2倍、3倍の時間を費やされんことを望む。