第80回<平成10年> 全国高等学校野球選手権

和歌山大会

<準決勝>

あっけない幕切れだった。星林は9回裏、2四球と永井の内野安打で無死満塁とした後、栗山英が投ゴロ併殺。川口真も遊ゴロで延長かと思われたが、悪送球で三塁走者の阪本が生還、サヨナラ勝ちした。
すべて逆転勝ちで勝ち上がってきた星林が初めて先手をとった。2回二死後、栗山聖の左中間二塁打と行平の中前安打で先制。追いつかれた4回には四球と連続安打で満塁とした後、投手のけん制悪投で追加点をあげ、7年ぶり4回目の決勝進出を果たした。
初芝橋本は初めて準決勝に進出し、数少ないチャンスをものにして粘りを見せたが、あと一歩のところで涙をのんだ。3回、中前安打の相馬がボークで二進後、稲吉の中越え三塁打で1点。8回には左翼線二塁打の代打荒井をバントで送った後、鈴木がスクイズを決め、再び同点とした。9回には中前安打の北井が二盗失敗。その後安打と四球が出ただけに惜しまれる。

追いつ追われつの展開となったが、5犠打を記録し、好機を確実に得点に結びつけた智辯和歌山が粘る伊都を振り切って、3年連続8回目の決勝進出を果たした。
2点先行された3回、四球と久米の内野安打などで一死一、三塁とし、福地が左中間に三塁打を放って追いつき、中村秀の中犠飛で勝ち越し。さらに再び同点で迎えた8回は、左前安打の鵜瀬が犠打と暴投で三進。堤野が一塁強襲安打で放ち、決勝点を奪った。
先制したのは伊都だった。3回四球と岸田の右翼線二塁打などで無死二、三塁とし、スクイズと土井の二塁打で2点先行。リードされた4回には尾花の二塁打で追いつき、7回には敵失がらみで同点とするなどしぶとさを見せたが、智弁和歌山の好継投により反撃の芽が断たれてしまった。

<決勝>

強力打線で突き放そうとする智辯和歌山を星林がしぶとく追いすがる展開になったが、智辯和歌山が振り切って、3年連続8回目の優勝をはたし、2年連続の全国制覇を目指すことになった。
智辯和歌山立ち上がりから敵失や福地の二塁打などで4点先制。同点に追いつかれた5回には、2四球と池辺亮、鵜瀬の2本の内野安打、敵失で2点を勝ち越し。さらに一死一三塁からのスクイズははずされて二死二塁となったが、川崎の左前安打で追加点を挙げた。続く6回には、四球と佐々木の左前安打で一死一、三塁とチャンスをつくり、4番の中村秀がきっちりとスクイズを決め、この1点が結局、決勝点となった。

星林は4点を追う5回、四球と栗山聖の左前安打で一、二塁。代打栗山郷がバントで送った後、池田が四球を選んで満塁。熊井が押し出しの四球を選んでまず1点。続く坂田がスクイズを決め、二死二、三塁から阪本の左越えの二塁打で同点に追いついた。
再び4点をリードされた8回、四球と安打などで一死一、三塁から、栗山聖の中前安打、代打花野の右前安打と敵失で3点を奪い、智辯和歌山の山野を降板させたが、リリーフしたエース児玉の速球と切れのいいカーブを打ち崩せず、後続を断ちきられた。しかし、離されても追いすがるその粘りは見事であった。

全国大会

<1回戦>

昨夏、全国制覇してわかせた朱色のユニフォームが1年ぶりに甲子園の塁上を舞った。智辯和歌山は7犠打を決め、右打ちに徹する堅実な攻撃を見せる一方、ヒットエンドランなどの強攻策に出る多彩な攻撃を見せ、追いすがる掛川西を振り切った。

1回、先頭の福地が頭に死球を受け、堤野が臨時代走にはいる。鵜瀬がきっちりバントで送り、一死二塁。当たっている佐々木が右中間を破って堤野がかえり、先制。中盤は掛川西・石川に抑えられたが、6回無死一塁から4番の中村秀の時、ヒットエンドランを敢行。その打球は左翼越えの二塁打となり、一塁から佐々木がかえって待望の追加点を挙げた。さらに無死二塁から井上が送り、一死三塁。池辺の5球目にスクイズ。本塁から遠くはずれた球に飛びついて1点と、硬軟取りまぜた鮮やかな攻めを見せた。7回には、安打の堤野を犠打で進めるなどして二死二塁。鵜瀬と佐々木の連続二塁打で2点追加し、突き放した。

<2回戦>

智辯和歌山は5犠打とヒットエンドラン、盗塁をからめる多彩な攻撃を見せて試合を常に優位にし、守ってはエース児玉が粘り強く投げ抜き、無失策の堅い守備にも守られて2試合連続で関東、3回戦に進出した。
智辯和歌山打線は岐阜三田・市原の厳しいコースの球を鋭い振りでとらえた。2回、先頭の池辺が中前安打。バントなどで二死二塁とした後、池辺は三盗を試み、相手捕手の悪送球を誘ってそのまま本塁を踏み、先制。さらに二死一塁とし、児玉の左翼越え三塁打で1点を加えた。3回にも、一死一塁から中村秀の左翼線二塁打と敵失で1点追加。なお二死三塁から、鵜瀬の内野安打。序盤で4点を奪った。中盤の5、6回にも、相手内野守備のミスに乗じて追加点を挙げ、岐阜三田を突き放した。

児玉は立ち上がり制球が乱れ、3回に長短打で1点を返された。しかし、中盤からカーブが内外角に決まりだして立ち直り、8回に1点を奪われた後、9回にも二死満塁のピンチをバックの好守備にも助けられて完投勝利を収め、3回戦で2年連続のベスト8進出をかけ、東愛知代表の豊田大谷高校と対戦することになった。

<3回戦>

智辯和歌山は中盤のリードを守りきれず、豊田大谷の終盤の粘りに屈して3回戦で涙をのんだ。
前半は完全な智辯和歌山のペースだった。1点を追う2回、2四球と犠打などで二死一、三塁。児玉の内野安打で同点に追いついた。再び1点をリードされた3回、福地が中前安打で出塁。続く佐々木の左翼中段に飛び込む2点本塁打で逆転。4回には、児玉の左翼ポール際へのソロ本塁打。5回にも、四球と川崎の右前安打などで一死一、三塁。続く瀬戸口のスクイズで1点と、大技小技を絡めた攻撃で、一度は豊田を6-2と突き放した。

児玉は強打の豊田大谷に対して、立ち上がりから気迫のある投球でよく抑えていた。しかし7回、古木の本塁打などで2点を返され、8回にも一死一、三塁とピンチを招いて、降板。救援した中村秀がこのピンチを抑えたが、9回、一死二、三塁から前田の三塁手の頭上をワンバウンドで越す左翼への安打で逆転を許した。6回以降、走者を出しながら得点に結びつけられない。8回、9回とチャンスはあったが、豊田大谷の上田の粘り強い投球に後続が断たれ、連覇の夢は意外な展開であっけなく消えた。